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2013年7月 5日 (金)

リアル中学生日記(10日間)

水曜日、中学の部活でテニスをしている息子のラケットが壊れた。
もともとフレームにヒビは入っていたのだけれど、
そことは別の場所が直角に凹んでいた。
強い力で何かの角にでもぶつけたのだろう。

Img00174


息子の説明では…

別のラケットで練習をしていて、ふとベンチを見ると、
そこに置いていたはずの予備のラケットが無くなっていた。
ベンチには空っぽのラケットケースがあるだけ。

ラケットケースを手に取ったとき、テニスコートのフェンスの向こう側のグランドに、
無残に壊れた自分のラケットが転がっているのが目に飛び込んできた。

いったい誰がやったのか、テニス部の仲間も誰も見てない。
顧問の先生が個別に情報収集しても何も出てこない。

外部からの侵入者というのも考えにくい。
休憩時間にみんなで水を飲みに行ってた時に折られたのだろう。

帰宅して、「ひどいよねぇ」と、ちょっと元気のない息子。

彼の分析によると、
「ボクは誰からもそんなことをされる覚えはないから、
ボクへの嫌がらせではないと思う。
たぶん『壊す』ってことそのものが目的だと思うから、
必ず誰かが見てるところで壊してるはず。」

なるほど、せっかくやるんだから、
見てる人が居ないとやりがいがないものね。

そんな話をしていると、家の電話が鳴った。
テニス部のお友達Aくんからだった。
「実は、オマエが帰った後、Bがみんなに『Cがやった』って言ってた」

やっぱり目撃者がいた。

BくんもCくんもテニス部で、その日、Cくんは塾で練習を早退していた。

つづけて目撃者Bくんは
『でもオレはCのことを先生に売ったりしないよ』
と言ってたそうだ。

電話をくれたAくんも
「オレが言ったっていうのは内緒にしておいて」

なんとも、中学生男子らしい義侠心。
Aくんも息子に言うべきかどうか葛藤したにちがいない。

その報告を受けた母は、
「どうする?このこと、先生に言っていい?」と息子に聞いてみた。
「ボクが直接聞いてみる。一日だけ待って。」
Cくんは息子のテニスのペア。
関係を壊したくないっていうのが最優先なんだ。

その夜、テニス部顧問の先生と、学年主任の先生が、
壊れたラケットを持って状況説明に来て下さった。
先生方は何も糸口が見つかってなかった。

「早退したCくんと、先ほど連絡が取れたのですが、
彼も知らないそうです。これで全員に聞いたのですが…。」

息子と目が合ったが、黙ってる。
これからの対応策について、先生と話しはじめたときに、
「先生、実は… さっき、テニス部のヤツから、
『CがやったってBが言ってた』って電話があった。
ボクが明日、Cに直接聞こうと思って黙ってたんだけど、
今、先生から、Cが『知らない』って言ったって聞いて…。」

「よく、言ってくれた。
それが本当かどうかも確かめてみないといけない。
もしも、それが間違った情報だったら、
オマエがCくんに聞くと気まずいことになるだろ?
誰が電話をくれたのか教えてくれないか?」

「それは言えない」

う~ん、中学生男子!!

もともと信頼している先生だったから、
息子はしばらく粘ったものの説得に応じた。

この件について、どんな対応を望むかを聞かれ、
「弁償は望まない。学校にも家庭にも、
壊した子を懲らしめてほしいのではなくて、教育して欲しい、
成長につながるように指導してほしい」と伝えた。

翌朝、息子の嘆きは違うところに向いていた。
「先生にチクらないのはわかるけど、
どうして、A以外のみんなはBが言ってたことを
ボクに教えてくれないんだろう。」

「みんな、いろいろ考えてると思うよ。誰のことも悪く思わないで。」
と送りしだした。

Cくんは、壊したことを知らないふりをしたことによって、
テニス部のみんなを巻き込むことになってしまったんだ。

2日目木曜日、事態は動かず。
Cくんは部活を休み、
先生の調査に対して、電話をくれたAくんも、
Cくんを庇う気持ちもあるので、あいまいに答え、
他の部員からもCくんかもしれないという報告も上がらず。

先生は
「今、Cくん本人に、やったんしゃないのかと訊くよりも、
子どもたちの方から声が上がるのを待ちたい。」と。

ただ、テニス部の仲間は、その日、息子には、
Bくんが目撃したことを教えてくれ、
息子の朝のもやもやはスッキリ。


3日目金曜日、動き始めた。
部長Dくんが先生に
「Cくんかもしれない。ボクたちで話し合いたい。」と。
おお、さすが部長Dくん。その日、肝心の目撃者Bくんは休み。

先生は
「子どもから自主的に声が上がって嬉しい。
彼らにひとまず任せたい」とのこと。

「先生にお任せします」と私。

4日目、5日目は土日とも雨で部活は中止。

6日目月曜日
部長Dくんと、目撃者Bくんが先生のところに行き、

「Cくんが壊しました。ボクたちが話して、謝らせる。
きっとCも反省してるから、先生はCくんを責めないでほしい。」

普段はやんちゃなBくんが、友達をかばう態度に先生も感激したそう。

7日目火曜日 動かず。

あんまり時間をかけすぎると、
罪悪感も、正義感も、なにもかもが薄れていくよなぁ。
期限をつけて対応してほしいと要望しようと思う。

8日目水曜日 一気に動く

下校途中に、Cくんが部長Dくんたちに付き添われて、
息子のところにやってきた。

「あれ、オレがやった。本当にごめん。」

この一言で、みんなの気持ちが救われた。

部長Dくんたちは、学校に戻り先生に報告し、
「Cは反省してるから、家庭連絡はしないでほしい」と嘆願。

美しい友情だね。

9日目木曜日
昨日、生徒から報告を受けた先生、この日、Cくんの特別指導。

「どうした?なにかイライラすることでもあるのか?」と
寄り添いつつ、素直な心を引き出していった。

「夜、家に電話するから、それまでに、
ちゃんと自分でお父さん、お母さんに言え」

その夜、Cくんのご両親から電話をいただいた。
一つ一つの言葉がとても誠実でいらっしゃって、
その分、お辛いだろうなぁ、苦しいだろうなぁ。

息子も「ボクはもういいと思ってるから、Cを叱らないでください。」って。

息子は、数日前Cくんとラケットのことを話したことを後悔していた。
Cくんに、しらばくれられたからではない。
「ボクが聞いたから、Cに嘘をつかせてしまった」と。

10日目金曜日
Cくん本人とご両親にお会いした。
丁寧に謝罪いただき、こちらの言いたいことはお伝えし、
それでシャンシャン。

なんで、壊したのか理由はわからない。
たぶん、本人にもはっきりとは分からないんだろう。
たまたまそこにラケットがあったから、他の子がコンコンぶつけて遊んでいた。
自分も手にとってコンコンコンコン…。
その時ふと「ワイルドで破天荒なオレ」を演じたくなったのかもしれない。

Cくんにとってはただのひびの入ったラケットかもしれない。
私にとっては、最初に買ってあげたラケット。
受験生の兄のストレス解消に付き合って、
夜の公園で兄弟ラリーをしてた想い出もある。
骨の折れたビニール傘を壊すのとは違うんだよ。
それはわかってほしいと思った。

想い出は私の心の中にある。
ラケットはもういい。

このラケットの一件、子どもたちのチカラで一番いい解決ができたと思う。
子どもたちはいろいろ考えて、より良い行動をした。
先生も勉強になったとおっしゃっていた。
そして、私たち親も、どうすればいいのかを考えさせられた。

私が望んだ「成長につながる指導」は、
図らずも大人たちの成長ももたらした。

こうなると、壊れたラケットがハート型に見えてくる。

その次の週末、テニスの区大会団体戦。
息子とCくんのペアも勝ち進み、なんと、団体優勝!!

できすぎだぜ。素敵すぎる。リアル中学生日記だ。

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